1-7 財務の補正・中小企業特性

財務の補正

 

【財務の補正】

 

純資産額は、経営改善計画の効果を評価する上で大きな役割を持っています。

 

例えば金融機関の期待値は、

「3年以内に黒字化」

「5年以内に債務超過解消、有利子負債の対キャッシュフロー倍率が10倍以下」

というように数値で表します。

 

したがって、正しい財務数値でなくては、正しい評価ができません。

 

そこで決算書の数値を実質的な数値に補正する必要が出てきます。

経営改善計画書の書式には、財務内容を書く欄とは別に、「調整事項反映後の純資産額」という項目がある場合もあります。

 

 

 

具体的には、次のことをチェックします。

 

売上債権の評価(回収不能なものは、ありませんか?)

棚卸資産の評価(実質的に価値がないものはありませんか?)

減価償却不足(赤字の時に減価償却を止めていませんか?)

除去のもれ(除去すべきものはありませんか?)

 

所有不動産の含み損、含み益(所有資産の簿価と時価の差はありませんか?)

未払金、未払費用の未計上(決算書に乗っていない債務などはありませんか?)

 

 

これらの状況は、金融機関もうすうす感づいているものです。

 

 

一過性の窮境の場合の簡易的な経営改善計画書であれば、決算書の数値をそのまま使えば良いと思います。

 

 

経営状況がかなり悪い場合は、相手もシビアに評価しますから、

(1)言われるまで、決算書の数値を使う

(2)そこそこの数値に変更する

(3)膿を出すつもりで、正しい数値を使う

の選択をしなくてはなりません。

 

私がお手伝いをする場合は、メインバンクさんに正直に聞くようにしています。

 

 

 

 

 

中小企業特性

 

【中小企業特性】

 

事業再生の現場では、金融機関が中小企業の財務内容を見る場合に、通常の企業と違う見方をする場合があります。

というのは、中小企業の財務は、個人の財務との関係が深いので、個人の財務に考慮するからです。

 

 

具体的には、

・経営者借入は、債務とみなさない

・親族からの借入も、債務放棄して貰えば、債務とみなさない

 

等、様々な例があります。

 

 

事業再生の現場では、中小企業特性を加味して財務状況を修正します。

 

経営改善計画の現場では、まずは、中小企業特性を加味しないまま、計画を進めていけば良いと思います。

 

 

債務超過の解消が難しい場合、さらに融資が必要な場合などに限って、中小企業特性も考慮すれば良いと思います。